…あたしだって別に沙月が嫌いなわけじゃない。寧ろ良い子だと思ってる。
けど、苦手なものはどうしても苦手。あたしは表だけでも仲良しこよしが出来るほど器用じゃない。
沙月は鈍いから気付かないだろうけど、あたしは結構表立って示してる。あんたには関わりたくないって。
レディースのトップは沙月の親友で、あたしを憎んでるといってもいいくらい敵視している。
それが鬱陶しいから、なるべく関わんないようにしてるんだけど…。あの天然おじょーさんはそんなのお構いなし。
何かとあたしと雄大の周りをウロチョロしてる。
「…妃登美。お前が本気で嫌なら、どうにかするが?」
東宮はいつも、こうして最後にはあたしを優先させるような事を言う。だけど思う。どうにかって、どうすんの?
東宮のどうにかする、は本当にどうにかしそうで怖い。というか面倒だ。
「……本気で嫌なら、バカ雄大殴ってこんな場所とっくにおさらばしてるわよ。」
結局あたしは雄大の側にいる。
何だかんだ文句を言いながら、結局はあのバカを放っておけないんだ。
いつだってそう。
夢歌に女神に任命されて反発したって、あたしは逃げなかった。
昔からあたしは雄大には甘いらしい。
「あんたも苦労するわね、東宮。」
苦笑しながら言えば、東宮はあの苦手な双眸であたしを射抜く。
「………お互い様だろう?」
何処か意味ありげに返された。
やっぱり、あたしは此奴が苦手だ。

