工藤 雄大という男は、全てが完璧だった。
完成された冷徹な美貌とカリスマ性を駆使し、彼は高校生にして多大な影響力を有していた。
『志皇帝会連合』。暴走族でもあり、所謂社会不適合者達の生きる場所であるその組織のトップに君臨しているのが、雄大だ。
連合の人間は社会不適合者というレッテルはあるものの、曇りない眼差しと判断力が高い。それに才能がある。
亜紀のように優しく強い男もいれば、頭は悪いけど勘の冴えるのなんかもいる。
彼らは組織に無くてはならない存在だとあたしは思ってる。
雄大を筆頭にして、連合には幹部席がある。
今の幹部は一夜と東宮だけ。亜紀も幹部補佐の席にいるけど、連合での細々した仕事は別の人間がしている。
一夜と東宮は、雄大に引けを取らない。だからこそ、幹部は二人だけでも務まってんだろうけど。
そして『志皇帝会連合』にはある特殊な掟がある。
それは、『女神』と『姫』という制度。
『姫』は、簡単に言えばトップの女…つまりは恋人を意味する。姫は『志皇帝会連合』の傘下である『茨嬢』というレディースに守られる。
代々、女遊びの派手なトップが多かったらしく、連合の人間は定期的に変わる姫に手を焼いていたという。そして、雄大の前の前のトップが、姫をレディースに守らせるようにしたのだ。
だから、姫になるのはそのレディース関係者が多い。多くは早々に捨てられるだけれど。

