夢歌、雄大、そして沙月…。
もう何度も聞いたこの三人の名前にいい加減にしてくれと言いたい。


この三人のせいで、あたしの人生計画は大きく崩れているのだから。


「…妃登満 Hitomi さん!!ちょ、大丈夫ッスか!?」


あー、見つかっちゃった。
あたしは駆け寄ってきた人物に苦笑を返し、あの女共に落とされた荷物を集めながら平気だと伝える。


駆け寄って来たのは、お人好しで誰よりも温かい優しさを持った青年。
ていっても、あたしと同じ十八歳なんだけど。


「亜紀 Aki はこんな所で何してんの?まさか、またあたしのストーカーしてたわけ?」


亜紀は顔を真っ赤にして狼狽えた。
彼独特の赤に近い茶髪が揺れる。


「や、オレはたまたま仲間とコンビニに行ってて。そ、そんで、帰って来て妃登満さんがいねぇから…。」


「コンビニ?てことは、アイスでも買って来てくれたんだ。早く食べよー。」


「ちょっ、妃登満さん!それよりその頬は何なんスか!?」


「亜紀。あんた、女の顔に文句言うわけ?」


「イヤ、そうじゃなくて…。」


亜紀は素直で優しい。だから、あたしの事を心配してくれる。本当はそういうのはしない方がいいのに。


亜紀は、最初から優しかった。
だからあたしも亜紀には懐いている。彼だけは、あたしの本当の意味での味方だから。