…また、やってしまった。


「ちょっと!アンタ、一体なんなワケ!?ワザとぶつかってんでしょ?」


「夢歌 Yumeka さんの妹だからって生意気にしちゃってさぁ。ウザいんだけど。」


「雄大 Yuudai さんの姫は沙月 Satuki さんがいんのに!アンタ、邪魔者だって分かんないの?」


…鬱陶しい。毎度毎度、聞き飽きた罵詈雑言にウンザリ。
女共は散々文句を言って平手をあたしにお見舞いして、満足したのか去っていった。


何なのよ…。そりゃあ、ぶつかったあたしが悪いだろうけどさ、謝ったじゃん。それにぶつかったっていっても、肩が軽く当たった程度じゃない。


そもそも、こっちは左目の視力がほぼ無い状態なんだから、左側からいきなり現れたあんたらに気付くわけないじゃない。あいつら、いつか不幸になるね。


…昔、あたしが世界で一番大切にしている人が言っていた。
優しさを知らない人は、優しさに殺されてしまうって。


…あたしは、優しさを知っている。あたしに優しさを注いでくれた人がいるから、あたしは優しさに殺されない。


でもまあ、だからって誰にでも優しいだけじゃないんだけどね。
あの女共に報復する程、愚かでもないけれども。