身動きがとれなかった。
彼女も同じくまばたきすらしていない。
時が止まる。
俺と彼女の間だけで、時は一瞬歩みを止めた。
空間が静かに固まった。
彼女の瞳を見つめていた。
青く、深く、吸い込まれそうだった。
やがて、彼女の前髪から落ちた1粒の雫により、時は歩みを再開した。
興奮を抑え、浅く呼吸する。
手を伸ばして目の前の映像に触れたい衝動に駆られたが、きつく拳を握った。
彼女はほっそりとした白い手を、開いた口に当てていた。
記憶の通りの顔。
昨日ぶりの、待ち侘びた瞬間。
口を開きかけたが、唇が震えているのに気づき深く歯を噛み込む。
右足を前に出した時、遠くの岩で塊になっていたカモメの群れが、俺たちの方へ向かって一挙に飛び立った。
「わっ……」
小さな、驚いたような声が聞こえた。
ぱしゃっと水の跳ねる音がする。
俺と彼女の視界は、白一色に染められた。
乱雑に羽ばたく音、わめき散らすうような鳴き声が、俺たちを遮る。
彼女も同じくまばたきすらしていない。
時が止まる。
俺と彼女の間だけで、時は一瞬歩みを止めた。
空間が静かに固まった。
彼女の瞳を見つめていた。
青く、深く、吸い込まれそうだった。
やがて、彼女の前髪から落ちた1粒の雫により、時は歩みを再開した。
興奮を抑え、浅く呼吸する。
手を伸ばして目の前の映像に触れたい衝動に駆られたが、きつく拳を握った。
彼女はほっそりとした白い手を、開いた口に当てていた。
記憶の通りの顔。
昨日ぶりの、待ち侘びた瞬間。
口を開きかけたが、唇が震えているのに気づき深く歯を噛み込む。
右足を前に出した時、遠くの岩で塊になっていたカモメの群れが、俺たちの方へ向かって一挙に飛び立った。
「わっ……」
小さな、驚いたような声が聞こえた。
ぱしゃっと水の跳ねる音がする。
俺と彼女の視界は、白一色に染められた。
乱雑に羽ばたく音、わめき散らすうような鳴き声が、俺たちを遮る。


