濡れたままの髪を張りつかせ、アクアはしばらく真珠に魅入られていた。


「……どこで?」


呟くようにアクアは言った。


「話は長くなるよ。とても。噂は正しかったんだ。アクアのおじいさんは本当にこれを、1人の人間に預けていた」

「人間に……」

「その人が、俺の、祖母にあたる人だったんだ」


アクアは息を呑み目を見開いた。声にならない声が喉の奥から漏れる。

それは徐々に嗚咽に近いものに変わっていったけれど、俺は話をやめるわけにはいかなかった。


「2人は俺たちのように出会って、惹かれ合ったんだ」

「でもアクアが言っていたように国王は追い詰められていた」

「だから別れる時に彼は、これを」

「全てが繋がっていて、それはずっと続いているんだ」


大筋を淡々と話したつもりだった。

アクアは少しずつ涙を落とし始めた。
箱をおしやり、両腕を伸ばしてアクアを抱き寄せる。


「悲しくて、泣いてるんじゃないの」

「うん」

「嬉しいんでも、悔しいんでも、ない……」

「うん」

「説明、できないけれど、どうしても、止められないの」

「いいよ」


全ての涙に理由が必要なわけではないよ。

我慢せずに泣いたらいい。

いつまででも、待つから。