改札を出て、ロータリーへ出ると車に寄り掛かり立つ見慣れた姿があった。
安堵と同時に足速になる。
「お待たせ」
「おう、行くか」
普段はそんなことしてくれないのに今日は助手席のドアを開けてくれて、私が乗ると閉めてくれた。
特に会話もなく、車は走り出した。
「…あ、あの」
「あ？」
「あ、ありがとう…」
「よかったな、何もなくて」
「え？」
「あぁぁ〜もう、気持ち悪ぃな」
「なによ！気持ち悪いって！」
「お前が大人しいと調子狂う」
「お、大人しいって怖い目にあったんだから仕方なっ、んん！！」
目の前には長い睫毛、久々のキスかも…って‼︎
「何するのよ！」
「大人しくしてろ」
「大人しいと調子狂うとか言ったくせに…」
信号が変わり、運転に集中しだした横顔に向かって呟く。
