「おじちゃん結婚しないの?」

「うーん、どうだろうな」

今日、4歳になったばかりの甥が無邪気に聞いてくる。
甥の誕生日会に呼ばれ、近くに住む兄一家の宅に遊びに来た。

「お義母さんがお見合いさせるって言ってたけどどうしたの?」

「着信拒否してる」

そう言う俺にまぁ呆れたと兄嫁は言いながらコーヒーを出してくれる。

「そのうち母さんが押しかけてくるぞ」

怖いよなぁ〜?と膝に乗せた息子に同意を求めながら、兄は警告してくる。

「そしたら大輝ん家にでも逃げる」

「大輝も彼女が居るのに迷惑だろ」

「あいつ彼女の家に入り浸ってるから」

「じゃあ問題ないな」

そんな会話を交わす俺達兄弟に兄嫁は全く…と呆れ顔で言いながら、ぐずり始めた1歳の姪を抱き上げると寝室へ連れて行った。

「まぁでも俺が27のときに斗真が生まれたし、母さんが結婚だって煩いのも仕方ない」

「あぁー兄貴が結婚した時にこれで俺は心置きなく30くらいまでは遊べると思ったのにな」

「でもさぁ、拓也くんさ」

「うわっ、ビックリした」

機嫌の治った姪を抱いて兄嫁が背後にいつの間にか立っていた。