「はぁー暇になっちゃったな」
高木くんが帰ってしまい、話し相手が居なくなったら飲んでても楽しくない。
ビール片手にソファーで眠る彼の隣に座り、テレビをつけてみたけど内容は全く入って来ない代わりに横からの寝息ばかり聞こえてくる。
いい機会だ、観察してみよう。
寝ているのをいいことに、顔のパーツを触ってみる。
「睫毛長っ」
私なんてマツエクして必死に伸ばしてるのに…
「ムカつく」
唇も肌もツヤツヤだし、なんなの!?…そうだ!
「いいこと思いついた」
テーブルに置いてあったペン立てからマジックを取り出す。
馬乗りになり、フタを外し、顔にペン先を向けた瞬間…
「なにしてんだ?」
目が開き、手首を掴まれ、そう問われる。
「お、お絵かき?」
「お絵かきはお絵かき帳にしなさいって習わなかったのか?」
「習わなかったかも」
「じゃあ教えてあげなきゃな」
「いつの間に起きたの?」
「睫毛を触られた辺りで」
そう言いながら手からペンが抜き取られた。
「クソっ」
「お仕置きだ」
そう耳元で囁かれるとあっという間にソファに押し倒された。

