俺は部活でも適当にやろうと考えていた。

3年の夏大あたりちょっと試合でもでて。


ぱぱっと終わらして…


俺は…どうせビビりのゴミ野郎だしな。

カッコイイ不良なんて無理なんだ。




そう思いながら、今日も俺は部活に励ん

だ。


何か悩みの対象以外に一所懸命になってい

れば、その事は考えないで済む。


だから部活っていうのはこの悩み多き学校

生活ではかなり重要かもしれない。


部活が悩みの種ではしょうがないが…




俺はひたすらに体を動かし、休み、食べ

て、寝るを繰り返した。




これでいい、どうせ俺は大した人間じゃな

いんだから。と




最近の俺は完全に卑屈になっていた。





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(あぁ、疲れたなぁ… 今日はジム休も

うー。 早く帰って、風呂入りたいな…)





部活でくたくたになり、家路に向かってる

途中にそんなことをぼぉーっと考える。





そんな刹那、聞こえてくる怒声…

(はぁ…、勘弁してくれ。俺には関係な

い、どうせ俺には何も出来ない)


自分は何も出来ない、そう思ってしまえば

気持ちは幾分楽だ。


そんな技を俺はいつの間にか取得してい

た…はずだったのに。



聞こえてきたのは、聞いたことのある声変

わりしてない声。いつか聞いた羨ましくな

るセリフが甦る。

(あいつは…)



揉めているのは、いつかの白戸高校の奴等

とうちのクラスのいじめられっ子…地味少

年だ。


「それだけは返してください!!」



「はぁー!? これは担保だっつったろ。

返して欲しいんなら、100万もってこ

いよ。」


「きゃははっトミー、100万あったらこん

な時計いくつ買えるんだよー。

交渉下手っ」




いいんだょ、はははと例の白高生は愉快

そうに笑って楽しんでやがる。



「お願いします!! それだけはっ!!」




それだけは、それだけはと言う地味少年に

なにか感じ取ったのか白高生の1人がかっ

ぱらった時計を空中にブラブラさせる。


「へぇー、そんなに大事かよ。 こんなも

んが……さっ!!」



そいつはその時計を地味少年の目の前で踏

み潰したのだ。



その場面を見てしまった俺は怒りに震えた

が地味少年は俺以上に震えた手で時計を触

りながら泣いているようだった。






(…クソっ!! クソっ、クソっ。

なんで俺は こんなビビりなんだよっ!!

俺が強けりゃ…もっと、もっと強けれ

ば…こんな…)




白高生は爆笑に腹を抱え、少年は蹴ら

れ、うずくまっている。





(俺は……俺…は弱いから…)

その時、いつかの言葉が頭をよぎった。