ボクシングを始めた俺はなかなかにハード

な学生生活を送ることになった。



全国大会へ行く実力を持つテニス部の部

活 は朝も早く、7時から朝練が開始だ。


朝からランニングに筋トレ、玉拾いと

チャイムの鳴る9時まで練習した後は当然

授業。


不良行動に目を瞑って貰うには、授業も

かかせない。


続いて昼休み、ここは気まぐれだが部員

に誘われれば練習も行かねばなるまいて。



人気者こそ、カッコイイ不良の代名詞だ

からな。



そしてそして、メインディッシュは放課

後の部活、大体夜の8時までシゴかれる。





更に極め付けに…

家からチャリで30分かけ、ジムに行った

と思ったら、一山走らされ…

ボコボコにされ家に帰れば、夜の11時と…




冷凍の中華丼を温めて出してくれる母が

女神に見えたものだ。



とんでもない筋トレメニューではあった

が、俺はどうやらMの気があるようで…


いやいや違う、カッコイイ不良になるた

めにと俺は必死で自分を追い込んだんだ。







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ハードな日々にも慣れて、学年で俺はそ

こそこの位置を確立していた。



ある日、俺は隣のクラスのデブ (焼き肉屋

の跡取り息子)とふざけあっていた。



やはり太っているので例によってプニプニ

やりまくっていたのたが、ついにそいつ

は「止めろよ、バカ」とふざけ半分で怒り

出したのだ。




まぁ、普通はそうだよな。

むしろふざけて怒る辺りに優しさを感じる

程だ。


だが…この頃の俺は調子に乗っていた。



この俺に向かって、「バカ」と言ったそい

つに俺の最速パンチが飛んだ。



そいつはそのまま床に倒れ、血を流してい

た。


その後は…大変だった。

右目は青く腫れ上がり、原形が分からな

い。

相手の両親に単身で謝罪を入れ、なんとか

許しを得たが、奴との関係には若干の亀裂

が入った。




ただ、得る物も大きい。

俺の名はついに先輩方に届くまでになった

のだ。