「ううん。元気。マスク忘れたから貰いに行ったんだ。ワタシたちは推薦決まってるけど、まだの子たちへの配慮だよっ」
そういえば、学校側からも注意喚起していたか。
「いい心がけだな。苦しいからってしないやつも多いのに」
「でしょでしょっ! もっと褒めてもいいからねっ」
「偉い偉い。それと、藁科も澤も進路決まったし良かったな」
「うんっ。同じ大学じゃないけどね。でも先生。 小論文に字の上手い下手は関係なくて安心した。 コトハの欠点難点問題点だからね。見た?」
「添削したぞ。まあ、ああいうのは、熱意と気持ちなんだよ」
「そんなプレゼントみたいなこと言って……。でも、指導ありがとね」
教師の当然の仕事、親友のことなのに、澤は丁寧に礼をして帰っていった。藁科をとても大切にしている澤。その後姿、友好的な態度に、本当に何も知らないのだと安心をしてしまった。



