瞳が映す景色


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冬休みは脱兎の勢いで終了した。


二日間だけ実家で過ごし、残りは仕事。受験生たちの予定管理や、他にも色々。担任の補佐ではあったが、それでもこんなに大変だったのが情けない。




あれよあれよと三学期。


三年生の教室は入試の話題一色で、翻弄される生徒も若干出てくる。空気に負け、泣き出してしまった生徒を連れ、白鳥先生が教科準備室にやって来た。使える部屋が満室だったとのことで、オレはふたり分のお茶を用意し退室した。


「片山先生っ、今日の提出物だよっ。白鳥先生用があるから先生に渡してだって」


廊下を歩いていると、背後から呼び止められる。


「――ああ、澤か。珍しい。クラス委員は忙しいみたいだな」


「海堂君は風邪。もうすぐセンターだから、大事をとってお休みだって。コトハは、保健室」


「、藁科、どこか悪いのか?」


藁科と澤は親友のようだし、係を代わってもらうのは別におかしいことじゃない。が、初めてのことだ。何か、よっぽど……。