強かった視線は、自分を語るうちにどんどん伏せられていって。
「だったとしても、私がもし仮に優しかったとしても、それは、大切な人にしか向けることが出来ないの……」
そんなことを、力なく呟く。
「オレだってそうさ。全てになんて、そんな神様なやつはいない。自分だって守っていかなきゃ潰れちまう。それが悪いことだとはオレは思わない。どっかで線は必要なんだ」
「けど、先生は泣いてた。人の死を怖いと感じられる。そんな人が――片山先生が、先生であってくれて良かったと思いました。好きになりました。気持ちが、一瞬で溢れました」
「……教師で良かったって。オレは泣いてて、白鳥先生に抱えられてただけだった」
心底情けない。そんな場面まで。
「まだ先生歴は浅いです。これからです」
「……、――そうか。だったら、藁科なんてもっとこれからじゃないか。オレなんかより、もっと」
そうさ。確信だって出来るから。
「――そしたら、私を好きになってくれますか?」
「っ!? ……」



