瞳が映す景色



もう少し時間は戻り――、


オレが高校生の頃のこと。


毎日をなんとなく過ごす日々は、昨日のことさえあやふやで。自分が何処に立っているのか、何処に立てばいいのかも分からず不安定だった。


意味もなく泣いた。


けど、そんなのは誰にでも。思春期にありがちな感情、感傷。何もせず、時間を無駄にしていた自分への焦り。


そして……本気か気まぐれか、屋上に出て、金網を越え、このまま、堕ちてしまおうと考えた。


――結果、オレは生きていて。


すぐに怖くなって、計画は中止されたからだ。


流れていた涙は激しさを増し、嗚咽が止まらなかった。


二度と、屋上へは足を運ばなかった。