瞳が映す景色


――


「ごめんね……佳奈ちゃん」


「いいわよー。結果待ちの仕事ばかりで帰り早いし、もう仕事納めだからこのまま年内お店立ってるよ」


クリスマスの翌日から熱が下がらず苦しんだ三日目の夜、その間お店に立っていてくれた佳奈ちゃんが、高そうなプリンを差し入れしてくれた。


「ううん。約束はあともう少しだから、それまではちゃんとバイトする。……あと一日は休ませてもらいたいけど」


「オッケーオッケー。じゃあ、プリン食べて元気出そうっ」


「うん。お腹、ちょっと空いたかも」


散々寝ていたから、起き上がった拍子の腰や背中が痛くて曲がらない。


スプーンを受け取り一口したプリンは、とろとろとしたタイプのもので、喉を難なく滑っていく。ようやく通った鼻から抜けるバニラビーンズの香りが優しい。


久しぶりに飲み物以外を口にしたあたしに、佳奈ちゃんは安心してくれたみたいで、自分の分のプリンも食べさせようとしてくる。


「いいって。佳奈ちゃん食べて」


「いいのいいの。だって、まだ沢山あるのよ。家の冷蔵庫に入りきらなくて、店にまで侵食してるんだから」


「高そうなのに。奮発した人もいるもんだね」


「奮発した人は、あの人だよ、って言えば分かる? ――お弁当の宅配のお礼だって」


……


「……、白鳥さん」


「あっ、そんな名前なんだねー。お弁当買いに来ても人見知りなのか噂ほど話してくれないし、頭下げて大量のプリン渡されるだけだし、小町ちゃん風邪って言ったら青ざめるし」


なんだか、想像に難い白鳥さんの様子に、ひとまずあの夜のあたしの記憶はないみたいでほっとする。


辛い身体に無茶をさせてしまい心配だったけど、翌日、元気にお店にやって来たらしく、あまり白鳥さんのことは考えないようにしていたけど――


「――うん。元気そうでなにより」