瞳が映す景色


時間を確認すると、お昼休みはもうあまり残っていなくて。


「ほらほら。早く教室に戻らないといけないよ」


「はいっ。ありがとうございました」


「頑張ってね~」


白鳥先生に会釈をし、乗せてもらった青い車を横目に、あたしは今度こそ教室まで一気にダッシュした。


さっきあんな短距離に息切れしたのに、今度はもっとな距離を走っても苦しくなるようなことはなかった。




「小町遅いっ」


「ごめん菜々っ。プリン忘れた」


あたしの準備を手伝ってくれる為か、菜々はすでにお弁当を食べ終わっていて。雅もそうで、けど受け取ったプリンを科学部のクラスメイトに頼んで部の冷蔵庫に保管しに行ってしまった。


「ふぅん。プリンの袋、最初から持ってなかった?」


「スプーンが飛び出していたのですよ」


それ以上、プリンよりもあからさまなスポーツドリンクには追及されず、席に座ってサンドイッチを頬張る。後ろでは、菜々があたしのポニーテールを結い直してくれている。時間がないから同時進行。






空腹は満たされた。プレッシャーは直前になっては微塵もない。


副団長の笛の音が鳴り、あたしは力の限り、赤組の勝ちを叫び。


正統派風の応援は盛り上がり、合戦は僅かな差だったけど赤組に軍配が上がり。


波に乗ったまま、総合結果も赤組は勝ちをもぎ取った。


閉会式のバンザイの中、先生集団の片隅で、白鳥先生は控え目に喜んでいた。