たとえ嘘つきだったとしても、もうお互い様となってしまったんだし。
奥底の本心が違ったものだったとしても、それは、あたしが傷付く類いの悪意あるものではないんじゃないか。
などと、一年を超えてしまった交流で、嫌でも形成されてしまった何かに思わさせられた。
もういいや。
今日は楽しかったから、いいや。
「無表情なんかじゃないからね」
「まだ言うの?」
「誓えるもの全てに誓うよっ」
「あっ、違っ!!そこに関してまだとか言ったわけじゃなくて、もう分かったからってことでっ」
「ふ~ん」
「何よ」
「――ほら、こんなにも感情豊かで反応素直だよね。知ってる?機嫌悪いときは左眉だけ頻繁に上がるんだ。それにお釣りのタイミング早い。機嫌がいいときは『あ~、プリン食べたい』って何度も言ってる気がする。恥ずかしいと、ふいに耳が、うにょって動くんだけど無意識?あれ凄い。意識して出来るようになったら一芸になるよ。今日は髪が邪魔してあんまり見えないけど、それでも分かるくらい分かりやすいよ」
気持ちが悪いくらい饒舌で楽しそうだ。きっと、こういうところが敬遠される要素なんだろう。
油でもさしたみたいに滑らかな形の良い唇に呆気にとられながら、あたしは、駅に電車が到着するまで白鳥さんからのよいしょ混じりの言葉を聞き流した。
「……きっと、ゲンちゃんはこんな感じでいつも虐げられてるんだね」
「仲良くしてるだけだよ~」
扉が開いた先は当然凍える寒さで、漸く口は閉じられた。



