「本当にそう思ってるなら白鳥さんはホント大馬鹿」
「ホントにそうだよね。――うん。本当だ」
本当に馬鹿だ。こんなことも、認められないの?分かってはいるでしょ?いつも不遜なのに、今、何故それが出来ない。
「……ゲンちゃんが信じてもらえたのは、もちろん、本人の普段の姿勢があってのことでもあるけど、白鳥さんがいてこその結果でしょ」
「僕が?」
「そうっ。――高井先生が指導してきて、認めて信じてきた白鳥さんが、ゲンちゃんを助けたり認めてたり信じてるから、高井先生だってそうしていられるんでしょ」
拳は知らず知らずに固く握ってしまっていて、爪が手のひらに食い込んで痛い。語彙が豊富じゃないから同じ言葉ばかり並べてしまう。
気にするな。元気を出せ!!――上手く、伝わってくれている?
「それに、決定的証拠な告白した女子を連れてきたのも白鳥さんでしょ。全部やっつけておいて妬いたり落ち込むなんて、許さないからね」
後日、女生徒には高井先生のところへ事情を説明しに行かせたらしい。白鳥さんが付き添って。
「仕事だって、白鳥さんちゃんとやってるよ。いつも遅くまで偉いなって、尊敬してる」
余計なことまで口を滑らせてしまった。さらりと流してもらえるのを希望しながらやっと黙るあたしに、白鳥さんがようやく顔を覗かせて反応した。
「許されないのは、イヤだなぁ」
そう、へらへら笑いながら。



