瞳が映す景色


「それにしても、僕を『そんなの』って酷くない?特殊な思考でも希少動物でもないんだけど」


「歪んでは、いるけどね」


「酷いなぁ」


「相手が、悪かっただけだよ?」


「え~?」


さらりと、涼しげにかわされて夜風が身に凍みる。


……それは、相手が悪かっただけだよ、白鳥さん。続けて大凶を引いてしまったおみくじだ。引かなかった筒の中には、大吉だってあったんだから。断り、失恋な結末だっとしても、感じとれていたかもしれないんだよ。


それに、あたしは、大凶だった子の心の中にも、本物の好きはきっと存在してたと思う。


返事のタイミングが違っていたら、それが伝わったかもしれない。ゲームだと、そういう軽薄じみたものに紛れないと、伝えることが出来なかった子がいたかもしれない。ピンチだったときだって――。


「と、あたしは思うけどね」


また思い知らされる。分からせてあげられないと。認めるしかない。現状はこのざまだと。


「う~ん」


「藁科さんの気持ちにも気づけないおバカさんなら、そういうこともあるかもしれないでしょ?」


納得はしていなかったけど、何故か藁科さんの名前を出すと、白鳥さんは先程よりも従順だ。



「藁科さんは偉大だね」


「そう?なのかな――」


白鳥さんを騙し、未知なる思考に足を掛けさせた彼女は、きっと、素敵な女の子なんだろう。