いらっときたものだから、冷たい視線を上から落とすと、はらりほろりと残った懺悔をこぼし出す。
いや。これは懺悔というより自意識過剰だった恥の吐露。
「あ~恥ずかしい。藁科が僕の前来るとき前髪整えるのも、瞬き多いのも、他にもあるけど、……そういうのって、思い返せばゲンちゃんと一緒だったときじゃないかぁ」
「今夜は自分の傲慢加減に身悶えながら、眠れない夜をお過ごし下さい」
「ああ……安らげない……」
「白鳥さんは、恋する女の子を疎んじすぎだからいいと思う」
軽んじ、過ぎるんだ。この男は。
高校教師、白鳥誠一は、高校生の恋愛感情を全く信じていない。ということをあたしは知っている。話されている。
恋愛を嫌っているわけじゃない。……事実、何処ぞの人妻に絶賛横恋慕中なんだし。
生徒の、あの年頃の女の子の恋心は安易なものでしかないと、言い張る。
確かに、すぐにくっついたり離れたりしてはいるけど、それは大人だって同じだ。けど、いくらどんな言葉で否定をしても、覆ることはないらしい。白鳥さん自身はどうだったのかと問えば、その頃、誰かを好きになったことはなかったらしい。
あたしの高校生時代を含め、そのひとつひとつは真剣だ。
だから、白鳥さんに対して以上に、説き伏せられない自分に腹が立つ。



