「好都合?」
「はい。――人は、一生の鼓動回数が決まってるって聞いたことあります。先生は七年も先に産まれてるから、将来一緒のタイミングで安らかな死という私の理想のためには好都合。地味でドキドキしない人生で安心しました。神様が調整してくれたのかな」
「迷惑……」
「お互いさまです」
絡んだ指には力が入り、表には出さないでおきたい藁科の気持ちを一番代弁している。とても焦り、緊張していた。
諦めようとしていたオレと、疑ってしまった藁 科。
願うのは――。
「通じた想いを無駄に出来る? ――先生。考え巡らせるのはやめにしませんか?」
「だってな、一番願うのは、藁科が幸せでいてくれることなんだ」
「私も同じ。だから、そうやって想い合えるうちはきっと大丈夫。迷惑だとか情けないとか全部なくすの」
「なんかもう……肯定ばかりじゃないか」



