瞳が映す景色


時刻はまだクリスマスの凍える夜。雪降る空の下。寒さなどまるで感じないかのように、ふたりとも地面から動かない。


「先生。私たち、これからどうすればいいかな? どうしたい?」


「っ……それは……」


「それは?」


深い茶色の瞳が強さを増す。射抜かれる。情けないが止まった涙が再燃しそうで。


好きで好きで唯一なんだ。だから、間違えたくない。


「けど……オレこんな情けないんだ。また泣きそうだ」


「泣くのは情けないこと? 可愛くて愛しいわ。それに大丈夫。先生の弱いところ、私は強いと思うの」


壊れてしまわないように、その手をとった。


「藁科が近くにいたら、どんな時も放したくなくなって、きっと困らせる」


「そんなの、ちょちょいのちょいで、私なら先生を説得して納得させてみせます。――そして、やるべきことをちゃんと終わらせてきたら、いっぱい抱きしめてあげます」


藁科から、指を絡められる。


「つまんない男だって振られたら、オレ、立ち直れない」


「そんなことないって、信じてくれるまで伝えるから、ずっと。それに過去がつまんないのは好都合」