もう独りよがりにはならないから。情けないが、 オレには手に余る難題なんだ。
こんな、顔さえ上げられないオレを、最後にひとつ、助けてほしい。
「……っ、うっ……」
「……」
俯いたまま、藁科からの言葉の続きをひたすらに待った。
「……ぅぅっ……」
「……」
けれど、
「っ……ぅぅっ……………………っ、うわ~んっ!! ぶひゅっ、っ、え゙ぇ~んっ。っ、うぅぅっ、っ…………」
藁科から聞こえてきたのは、くしゃみのような赤ん坊が力の限り泣き叫ぶような、それらが混ざったものだった。
「えっ」
思わず上げてしまったオレの目に映った光景は、鼻水だけは塞き止めようと必死にハンカチを鼻に押さえつける藁科の姿だった。
「えっ……藁、科?」
そんなに泣くほど、オレは気持ち悪く伝えてしまったのだろうか。
……本当にいけない。独り善がりの片想いなんて、迷惑なだけじゃないか。



