瞳が映す景色


「――藁科」


「はい」


「大学、頑張ってるみたいだな。澤が言ってた。あと、めちゃくちゃ怒られた」


「……美月ちゃん、なんにも知らないのに、ずっと先生を怒ってるの。でも、聞かないでいてくれるんです。いつかちゃんと言えたらなって、思ってます。――へへっ。私たち、人づてで知ってばっかり」


「だな」


「そうなるように、しちゃったんだなぁ」


「藁科が、じゃあないぞ」


なら半分こ。電話の向こうから約束だと藁科は言う。オレはそんな共有に心臓が跳ねる。


「――大学、頑張ってますよ。勉強嫌いで、丸暗記だけでやってきたけど、そんな姿勢は失礼だからやめたの。ちゃんとやりたいこと見つけたの。そうしなきゃいけないって、思ったの。片山先生のおかげよ?」


「なんで、オレの……?」


何故? 藁科がひとりで模索し、見つけたことなのに。