瞳が映す景色


「ッ、ウワァ……ッ!?」


「先生危ないっ!!」


思ったよりスピードを出し過ぎていたのが災いして、藁科に掴まれた腕から後ろ向きに倒れていってしまった。後頭部を激しく打ちつけ意識を失い、そしてそのまま……。


だったはずが、オレは背中を強打するだけで助かっていた。一度呼吸は止まったが、すぐに復活した。


恐怖で閉じてしまった目を開ける。


「っ、藁科っ!?」


オレの後頭部は、藁科の小さな手に守られていた。


「大丈夫ですか?」


「オッ、オレより藁科の手はっ?  折れてないかっ?  ……すまない」


「平気です」


「うん、なら安心だ。…………だから、藁科。もう大丈夫だし、離れよう」


オレは、仰向けの状態で天井を見ていて。


藁科は、左手でオレの後頭部を抱き、そして……、オレを押し倒す格好をとっていた。






「……、――嫌です」