瞳が映す景色


元生徒のほとんどが話題にされていく。その中には、当然……。


「――藁科、キレイになったね。あんなに可愛いと、僕お嫁に欲しくなっちゃった。澤、いいですか?」


「白鳥先生……。……うーん。なんとなく、嫌だな」


「そっか。了承得られなくて残念。ということで、今宵は慰めてよ、ゲンちゃん」


オレに、どうやってその会話に加われと無言の圧を感じる。無視をして、ありもしないゴミを探しに背中を見せて逃げた。


「了承とか……。心配はしてるけど、ワタシにそこまでの束縛は出来ないよ。相手が白鳥先生でも、どんな人でも、…………片山先生でもねっ!!」


「っ!?」


……振り返らないなど、不可能だろう。その最後の声はオレの方を向いて投げられたものだったから。


見ると、澤は仁王立ちに近い格好でオレを見据えていて。


「でも、前提として、当然だけどコトハが幸せでいられること。恋愛だけに溺れさせず、お互いの時間を尊重し合える人。――コトハ、大学すっごく頑張ってる。あんなに勉強嫌いだったのにだよっ」


「えっ? 藁科が勉強嫌い? 騙された~っ」



「海堂君はうるさいっ!」


「っ、……ゴメン……」


「――海堂。ちょっと机直すの手伝って」


そっと、海堂を連れ、白鳥さんが少し離れていった。