オレたちの正面を、藁科は澤に手を引かれ通っていく。
交わるわけがない……そう思い、見つめすぎた。
「っ!!」
視線が重なる。藁科とオレの。
「――お久しぶりです」
藁科から会釈を。あまつさえ、こっちに微笑んでくれた。
どうか顔には出ませんようと願う。声は、とっくの前に存在を消していた。
「うん。久しぶり、藁科」
「はい」
フォローしてくれるように、白鳥さんがその場を普段の空気にしてくれた。
こんなに、どうしようもなくなってしまうなんて……。
語弊とかはどうでもいい。
今日オレは、好きな相手に、もう一度、一目惚れしてしまったようだ。



