感傷的な気分に溺れていた時――カラン、と入り口のベルが鳴った。来客を知らせるためのものだが、休業の連絡を見落とした誰かだろうか。当然かもしれない。店の中はこんなに賑やかなんだから。 …… でも、 けど、 「……」 そうであってほしくない。 そうであって、ほしい。 「……」 オレは、音のしたほうを見つめた。