オレたちの言葉に、海堂は一安心だと言った。
「良かった、って言っていいもんなのかは分かんないけど。そういう大人の選択って、実はもう目の前で崖っぷちだって、危機感感じてたから。いつかちゃんと決断はするけど、猶予があるって分かって、安心もした」
「そっか。なら良かった。海堂はきっと、その時にはちゃんと決断出来るよ」
「ありがとう」
安心した海堂は、はしゃぐほうにシフトを変え始める。
「そっか。――じゃあ数年後は、俺もオッサンって言われて悲しく笑うのか」
「さっきからオッサンって……数えられないほど離れてないだろっ。報いは必ず受けるぞ」
「そうだよ。一緒って言ったろ? ゲンちゃんも僕も、海堂と同じように、ずるずるっと、ずっと同じ人に片想いしてるしね」
「っ、白鳥さんっ!?」
さっきまでは良かったのに、一言多いだろう。
「そっか。先生たちもかー。お互い頑張ろうなっ」
オレは放っておいてくれて構わなかったのに、白鳥さんと海堂の熱い肩組みに巻き込まれる。
――まあいいとしよう。嫌な感じじゃあ、なかったんだから。



