「良かったね、海堂。思いがけずクリスマスを一緒にいられて」
白鳥さんも、おそらく、ここにいるみんなの周知の事実。高校時代からずっと、海堂が好意を示していた片想い相手がいる場所。その表情を見ると、 どうやらそれは健在のようで。
「うん、そのうちに。あんま寄りすぎてもウザがられるだけだし。――ゆっくり、諦め悪く行くよ」
好きだと、絶えず想いをぶつけ続けていた頃の面影は強く握る拳だけに残し、海堂は、姿だけでなく成長していた。
「俺、先週誕生日だったんすけど、祝いとかないんですか? 先生方」
おもむろに、海堂が手のひら差し出し要求をしてくる。
「残念だな。ゲンちゃんも僕も今日は金欠でね」
「そうそう。オレなんか、白鳥先生から追いはぎに遭ったようなもんだ」
「あったとしてもくれないだろー?」
「それはどうかなあ。――じゃあ、僕が十九歳の当時、もし友達がいたら実行しようと計画していたこと、海堂にしてあげるよ」



