瞳が映す景色


伏線……は、あったか。なんとなく。


「ウチは毎年クリスマス休業なの。両親は慰安旅行」


よく見ると、店の扉には休業日の知らせが掲げられていた。


「繁盛期にか?」


「ここはガラガラ。店開けてても」


「へえ……」


けど、店の中は満席状態だ。客の顔は、案の定知った顔ばかり。


「この前、澤と偶然会ったんだよね。クリスマスとプチ同窓会するって聞いてさ」


白鳥さんが弾んだ声で事後報告してくる。


「デートの予定ない人がこんなに集まっちゃって……店の材料は使用禁止だからどうしようって愚痴ったら、白鳥先生がおねだりしてもいいよって」


「って、言っちゃったんだ~」