瞳が映す景色


けど、結局は後期もこうしてクラス委員をしているのは藁科と海堂の人徳なんだ。白鳥先生の采配は、とても的確だった。


「でもな、結果、藁科で良かったと俺は思ってるけどなあ。海堂も。前に立ったとき、皆が自然にちゃんと耳を傾けるだろう? その持っている才能は大事だし、意見をそつなく拾い上げてくのは、いいよなあ」


不満を溜めているかもしれない藁科に伝えてみ る。


「うーん。片山先生がそう言ってくれるならいいです。そして、やっと教室に到着でーす」


「後ろの隅に置くぞ」


教室には誰もおらず、オレたちを巻き込み、全てが茜色に染まっていた。




――、……ん?


「なんだ?」


荷物を運び込んだ教室の中、部活男子の汗の匂いに紛れて、何か甘い香りが漂ってきた。