「…い!うーい!ちょっと聞いてる?」
「ふぇ?あれ、なんだっけ?」
学食で私の向かいに座り、高い声で喋るのは中学校からの親友の美弥だ。
美弥はふわっとした茶色の髪を纏う美人な子だ。

「だから、お兄ちゃんの友達のいるバンドのライブを見に行かないかって」

「あ、うん。いいけど、誰の?」

「UNDER GROUNDだよ。羽衣も名前聞いたことあるでしょ?」

「ふ〜ん。」

ん…?アンダーグラウンド…?

「…ちょっと待って。それってヴォーカルにYUKIっているよね?」

「よかった、知ってたんだね!」

「いやいや!知ってるも何も、そのバンドの曲よく聞いてるもん!メジャーデビューしたばっかりだよね。…じゃなくて、何⁉︎美弥のお兄ちゃんってそんなすごい人と知り合いなの⁉︎」

「うん。ベースのハヤトさんと仲良いの。だからチケットいい席貰っちゃって!
お兄ちゃんがくれたから羽衣と行きたいなーって思ってさぁ」

「行く!ぜひ行かせていただきます‼︎」

「ふふ、よかった!」

「いつだっけ?」

「今週の土曜日だよ!◯◯アリーナであるんだよー」

「さすが…。規模が違うや…」

「ねー。詳しいことはまたメールするよ!」


美弥の言葉と同時に予鈴がなる。
二人で急いで片付け、学食を後にした。