「お可哀想にリリス嬢!そんな粗末なドレスで!それではとても公爵の前になんて出られませんわね!」

「ええ!私だったらここにさえ恥ずかしくて来ることもできませんわ!」


わざとらしくクスクスと扇を口元にあて笑う。

これでも持っている中では良い生地のものを選んだはずだ。
まあ最初から公爵の目になんてとまる気もないし前に出る予定なんてないから別に良いが。

この偽乳どもが!と詰め物をしているとおもわれる令嬢たちの胸元を睨みながら無言を貫く。


彼女たちがまた口を開こうとした時、急に会場がしん…と静まりかえった。