よく見ると、相手はこちらをじっと見つめている。 闇夜のように青みがかった黒髪に、眼鏡の奥で光るグレーの瞳。 そこではじめてリリスはこの人物が男だということを悟った。 (どうしよう…不審者なのかしら…この人?) その人から目を逸らすことも出来ないまま警備の者を呼ぶべきか思案していると、 「あまり人の顔をじろじろ見ないでくれませんか?吐き気がします。」 目の前の男が吐き捨てるように言った。