結局私は最後まで公爵の顔を見ずに帰って来てしまった。

姿くらい見た方がよかったかしら?

いや、あの獣の巣窟に飛び込むような勇気を私は生憎持ち合わせていない。


「もーだめ、頭が割れるわあー」


昨日のお酒で見事二日酔いになった私は
今に至る。


「まったくリリス様は…。たった一杯でこのように酔われるとは、奥様を思い出しますわ。」


アンナに呆れたようにいわれた。


「母様も、お酒が?」


「ええ、もうそっくりですわ。」


思い出したのかアンナは苦笑する。