伯爵令嬢の結婚

「ええ、大丈夫です。…少し気分が悪くなってしまって…」


大方見栄だとばれているだろうが、笑顔で取り繕う。


「それは大変です。水をお持ちしましょう。」


よく教育されているのだろう。すぐに彼は水を持ってきてくれた。


「あ、ありがとうございます…」


受け取った水を口に含む。よく冷やされていて心地よい。

そういえば、顔をよく見ていなかったな、と彼を見上げると何故かその人は目元を仮面で隠している。


一瞬不思議に思うが、すぐにさっきのボーイも仮面をしていたことを思い出した。