伯爵令嬢の結婚

壁伝いにバルコニーへと出る。


「ふぅ…風が気持ちいい…」


新鮮な空気を肺いっぱいに取り込んだお陰で、気分が少しだけ落ち着いた。

手頃なベンチを見つけ、もたれかかる。


「だめだ…寝そう…」


だめだと頭では思いながらも、瞼が次第に降りてくる。




その時、突然目の前に影が差した。