「やっと行ったわ…」


はあ…とため息をつく。これだから舞踏会なんていやだったのだ。


公爵に群がる令嬢達を避けながら、食事を少しずつつまむ。


「……おいしい。」


悔しいが流石公爵家。料理人の腕も一流のようだ。

もぐもぐと味わいながら、ふとアンナの言葉を思い出す。


「“伯爵家も安泰”かあ…」


確かに今の貧乏生活からも抜け出せるんだろうなあ、とぼんやり考える。