つかの間、会場中が色めきだつ。


「ラザフォード公爵様よ…!!」
「ちょっと!貴女邪魔よ!公爵様が見えないじゃないの!」
「貴女!今わたくしの足を踏んだわね⁈」


なんと、ラザフォード公爵本人の登場だった。といっても、遠く離れたここではその姿さえ見えない。

それと同時にいたるところで独身女性同士の醜い争いが現在勃発中だ。
私につっかかってきていた3人も目の色を変えてその中へ飛び込もうとしている。


「では、リリス嬢。わたくし達貴女にかまっている時間はありませんの。さっきの言葉、ゆめゆめ忘れないことですわね!」


そう捨て台詞を残すと煌びやかなドレスを翻し、人混みの中へと消えて行くのだった。