マンションの8階からおりると、 「遅いっ!」 そう言ったのは私の幼なじみである 松村優妃(まつむら ゆうひ)。 「ごめん、ごめん!」 私は手を合わせて優妃にあやまった。 高校まで行く電車には、はや歩きすればギリギリつきそうな時間だった。 「有子は入学式も遅れそうになったんだから気おつけなよ」 優妃に言われた。 「そんなこと言っても優妃は絶対待っててくれるよね?」 優妃は顔を赤くして、 「ほら、はやく行くよ」 そう言った。 こうして毎日の私達の通学時間が始まった