RRRRRRR・・・
ケータイのアラームで重い瞼を開いた
ゆっくりと体を起こして伸びをする。
リビングに下りると、もうママはいなかった。
仏壇にみたてられた棚の前で手を合わせる
「おはよう、パパ…」
あたしが七歳の時、パパが死んじゃった。
仕事帰り、雨でスリップした車が突っ込んできて死んだ。
不運な事故だった。
パパの仏壇にお水とパンを添えると
冷蔵庫から野菜ジュースを出してパンを焼いた
パンを食べ
一年間着こなした制服に袖を通して
髪を結い、靴をはいた
パパが死んでからずっと
変わらない毎日。
「いってきます…」
返事が来ないのを承知で
吸い込まれるような声でいってきますを言った