「はい,コーヒー。
だからいったじゃんー時間ないんでしょ?」

制服のスカートがゆれる

『・・・すいません』


スーツに着替えながら椅子に座った

朝は食べない俺にコーヒーをいれて
かばんを持った少女

「じゃぁもう先いくね!」

『由奈待って。送ってく』

「え?」

コーヒーを一気に飲み干して立ち上がる

フワッ

『ネクタイ・・ずれてる』

キュ

由奈の目線にあわせてしゃがみ
首もとの男物のネクタイを結ぶ

「っ・・・ありがとう。
でもガクトこそ寝癖,ついてるよ」

クスと笑った由奈は背伸びをして
俺の髪をなでる。

『ありがと。』

穏やかな時間が流れる

ポンッ〈8時をお知らせします〉

テレビから無機質な音が響いた

「『あ。』」

「ちっ遅刻!!」

『っいくぞ!』

由奈を抱き上げて部屋から飛び出た

「キャッ」

車にそのまま由奈を乗せ勢いよく発進させた

「もうっ乱暴なんだから!」

『ごめん。』

ぽんぽんと頭をなでる