てっきりいい人でもいるものだと
思っていたからただ懐かしんでいる
だけだと自分に言い聞かせていた


がっくんにとって私は
ただの妹、小さい頃の
懐かしい記憶の中での少女で
しかないと



でもがっくんから気持ちを聞いたとき
すごく嬉しくて涙で
何も言えなかった



長年の私の片思いが
実った瞬間だった。



そこからがくんの家に
同棲するようになるまでは
そう時間はかからなかった



私が一人で住んでいた
アパートにがっくんがきた時
がっくんの驚いた顔は
今でも忘れられない




「ねぇ本当にここにすんでいるの?」



『うんそうだよ?
どうかした?』



がっくんを部屋に案内して
珈琲を用意していたとき
がっくんがやっと声を発した



「・・・・由奈。」



『ん?』



「俺と一緒に暮らさないか?」



『え?』



「こんなところ、女の子一人で
住むような所じゃないよ。

防犯設備だって何一つないし
誰でも簡単に侵入できるよ

一人にしておけないよ」