学費は奨学金が出て
何とかなっていたけど
それ以外にだっていろいろ
お金はかかるものだから
バイトをしながらなんとか
生活を送っていた。




そんな日常に慣れてきたころ
いつも通り親友のももと
一緒に学校から帰っていた



ふと風が吹き
髪の毛で前が見えなくなった


髪を直そうとしたとき
視界の隅っこに
どこか懐かしい背中が映った



まさかとは思いながら

はやる気持ちを止められなくて
ふいに口が開いていた



『・・・がっくん?』



ぴくっ


その瞬間動きの止まった
背中に私は確信した


私の声に振り返った彼は
あのころより確かに
大人になっていた


小さい頃からかっこよかった
彼は今も変わらずかっこいい


びしっとスーツも着こなす
立派な社会人の姿




そんな彼への気持ちを
抑えられなくてつい
飛び込んでしまった彼の腕


あのころよりもたくましくなった
体は時間を感じさせた