私よりも七つも年上で
私なんか妹にしか一生
思ってもらえないってことは
なんとなくわかっていた


だから施設を出ていく
彼の姿を見送る時、なぜか
涙ではなく笑顔が出てきた


彼の目に映る最後の私は
泣き顔ではなく、
せめて最高の笑顔でありたかった



私自身大きくなって
この施設を出るとき
思い出すのはあの頃の彼


まだ幼い彼はもう二十歳を超えている



今頃どんな大人になっているのだろう


きっと素敵な彼女でも
いるんだろうと

思い返してみる



「元気でやるのよ。
何かあればいつでも頼ってね」



『はい、ありがとうございました。』



園長先生に見送られ
私は一人施設を出ていった。


それからは学校のすぐそばに
あるアパートを借りて
一人暮らしを始めた