こちらの意表を突いて、統子は笑う。



そしてさっきの言葉。




"──速斗君しかいないよ。"






暫く脳内をリフレインして目の前の状況を置いてきぼりにしていた。




「──速斗君…?

ごめんね。私の話ばっかし聞いてもらって。


あ、速斗君は今日はなにするの?

畑のお仕事?」



「いや、僕の家は、昨日の午後からお盆休みに入ったから。


今日は商店街の方へ行こうかなと。

前から欲しかった物があるんだ。

その後は適当にチャリでぶらぶらしていようと思ってる。」


速斗は心のなかで息を吐いた。

少し喋りすぎてた気がする…。




「そうなんだ。


商店街ってどこの?」


「あ、辻町っていって、…えっと、海の近くの集落にあるんだけど…」


「ここから遠いの?」


「んー。

そうでもないよ。」



「ふーん…

ねえ、私も一緒に行っていい?」