昨日のベンチに着いた。 4時50分。 「まだ早い…か。」 暫く、揺れて光る川面を眺めていた。 誰かが駆けている音がする。 顔を上げて辺りを見回す。 「───あ…。」 橋の上に速斗がいた。 こっちに向かって走ってくる。 思わず、統子は立ち上がって速斗に向かって手を振っていた。