祖父母宅に着いて時計を見ると、7時5分。


親戚はまだ誰も起きていない様だ。


統子はそっと、部屋に戻った。




親戚の子供達は皆寝ている。



手持ち無沙汰を感じた統子は、鞄から本を取り出した。


朝日が眩しい庭先へ移動し、端に座って本を開く。



暫くページを進める。



そして、ふと朝日を見上げた統子は、早朝に出逢ったあの少年の事を思い浮かべた。



彼の名は、池内速斗。


この土地の少年らしく、日焼けしていて、逞しい感じがした。


無造作と言うより、無頓着なのであろう髪型。


シンプルな服装。


引き締まった体つき。



統子の目にはそのどれもが新鮮で、清々しく写った。




ここでのモノクロの日々に1つ、彩りが添えられた気がした。